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創業者のアドバイス

資金調達につながるプレシード ピッチ資料の作り方

プレシード ピッチ資料を作成する創業者にありがちな 5 つの間違いとデータに基づく対処法をご紹介します。

投資家向けのピッチ資料は、資金調達を成功させるために欠かせないアセットの 1 つです。効果的な資料を作り上げるには時間が必要ですが、ゼロから作り始める必要はありません。DocSend は以前に、VC がピッチ資料に求める内容について大規模な調査を実施しました(プレシードの資金調達に関する調査レポートはこちら)。その調査結果から、ピッチ資料をミーティングに結び付けられるかどうか、願わくば条件規定書を交わせるかどうかに大きく影響する 11 の項目が判明しています。


同じく DocSend が実施した資金調達に関する調査では、初期段階での資金調達を成功に導くいくつかの法則が明らかになっています。これらの法則については以下の 2 つの資料にまとめられています。

🧬 ピッチ資料の作成手順
🎨 ピッチ資料のテンプレート 2 種(プレシード向けとシード向け)

ガイドとテンプレートをダウンロード


数千件に及ぶピッチ資料を分析して明らかになったのは、多くの資料は同じ間違いをしているという事実です。チームに関する説明が不十分だったり製品の説明に偏っていたりすると、VC は意思決定に必要な情報をピッチ資料から読み取れなくなります。

ここでは、DocSend が発見した 5 つのよくある間違いとその対処法をご紹介します。

覚えておくべき一般原則

簡潔にする

DocSend によるすべての調査に共通しているのは、投資家がプレシード ピッチ資料 1 件あたりに費やす時間は平均 3.5 分未満という点です。会社の概要や事業内容を理解してもらうのに十分な時間とは言えません。しかし、ピッチ資料は投資を確実にするためのものではなく、ミーティングの約束を取り付ける手段に過ぎないという点を忘れてはなりません。Zoom ミーティングに持ち込むことができれば、事業内容について掘り下げる時間はたっぷり確保できます。あなたに会ってみたいと投資家に思わせること。それがピッチ資料の唯一の目的です。わずかな時間でたくさんの情報を理解してもらうには、その時間を最大限に有効活用する必要があります。DocSend が突き止めた最も効果的な方法は、ピッチ資料を 20 ページ程度にまとめ、わかりやすい大筋のストーリーに沿った内容にすることです(詳細は後述します)。

(シード段階の著名なピッチ資料をいくつか分析したところ、参考にすべき点と改善が必要な点が明らかになっています。こちらでその例をご覧ください。)

すべての項目を問題点と解決策に結び付ける

意外かもしれませんが、ピッチ資料の核となるのは問題点に関するスライドです。このスライドを資料の冒頭に配置して残りのストーリー全体を構成します。つまりこのスライドを基準に、製品のどの部分を強調するか、ビジネス モデルをどのように示すか、チームに関するスライドにどのような情報を掲載するかを決めるのです。設定した問題点に対し、あなたのチームとビジネスが直接的にどう対処しているかをすべての項目で示す必要があります。

伝えるべきはストーリーであることを忘れない

ピッチ資料にはストーリーの流れが必要です。大枠として推奨されるストーリー構成もありますが、すべてのピッチ資料に最適とは限りません。チームの経験が豊富な場合は、自分たちでストーリーを構成したほうがよいでしょう。たとえば、自社のトラクションとして、知名度の高い顧客の存在や多数の日次アクティブ ユーザー数を挙げている場合は、それを財務や競合に関するスライドより前に配置すると効果的かもしれません。自社の強みが際立つようにストーリーを構成しましょう。法廷弁護士で起業家向けのストーリーテリング コーチでもあるロビー・クラブトリー氏は、DocSend とのインタビューで、資金調達に取り組むスタートアップ企業向けにストーリーテリングの技法と簡潔さの重要性を説明しています。

プレゼンを練習し、メッセージに対する理解を深める

偶然出会った他業種の見知らぬ人に何の仕事をしているのかと聞かれたとき、あなたはどんな風に説明しますか?あるいは、自分の仕事のことを両親にどう説明するでしょうか?投資家と話す機会を偶然得たときに備えて「エレベーター ピッチ」を用意しておくべき、とよく言われたものですが、実際エレベーター ピッチはピッチ資料を作成するときに役立ちます。エレベーター ピッチはピッチ資料の根幹となるメッセージであり、それを土台にストーリーを構築し、スライドを作り上げることができます。

1. 「問題点」と「今こそ必要な理由」が明確に定義されていない

適切なスライドが追加されたプレシード ピッチ資料の割合:92 %
平均ページ数:1.9

プレシードを対象にした DocSend の調査によれば、次のステップにつながったピッチ資料の 92 %(グローバルでの割合。米国西海岸では 100 %)には、製品や会社が解決しようとしている問題点についてのスライドが含まれています。この事実が意味するのは、そのスライドが重要だということです。「問題点」スライドはピッチ資料を構成する 2 本柱の 1 つです。もし、あなたの会社が解決する問題をあなた自身が明確に定義できないとしたら、いったん立ち止まって事業内容を見直す必要があるでしょう。

問題点の説明に手を入れる必要があるとしても、込み入った内容にする必要はありません。というより、そうすべきではありません。DocSend の最近の調査によると、次のステップにつながったピッチ資料が問題点の説明に費やしているスライドは平均 1.8 枚です。簡潔で明確な内容にすることを心がけましょう。

問題点を説明するうえでさらに難しく、投資を引き出すうえでさらに大きな障壁となるのが、その問題をなぜ「今」解決する必要があるのかを示すことです。時間をかけてこの問いへの完璧な答えを見いだすとともに、それを説明するスライド 1 枚をピッチ資料に盛り込む必要があります。

ここで大切なのは、「今こそ必要な理由」スライドがただの「必要な理由」スライドになってしまわないようにすることです。ピッチ資料の目的は、あなたのビジネスが投資に値するものであることを投資家に示すことです。そのために「今こそ必要な理由」スライドで切迫感を促し、投資を先延ばしにする理由をすべて排除する必要があるのです。あらゆるデータを駆使して、あなたの会社の参入が現在の市場にとって有益であることを訴えましょう。

2. 「製品」スライドが多すぎるか不十分

適切なスライドが追加されたプレシード ピッチ資料の割合:86 %
平均ページ数:2.7

「製品」スライドは「解決策」スライドと混同しがちですが、同じものではありません。「製品」スライドの目的は、あなたが実際に作ろうとしているものをスクリーンショットやモックアップ、試作品、完成品などの形で投資家に示すことです。

ここであまり細かく説明する必要はありません。プレシードを対象にした DocSend の調査によると、創業者はこのセクションに平均 2.8 枚のスライドを費やしています。また、「製品」スライドも問題点と結び付けるようにしてください。製品は解決策を具体的に表現したものです。したがって、製品のどの部分が問題の解決に直接つながるのか、それを示す必要があります。ただし、その仕組みを微に入り細に入り説明する必要はありません。詳しい情報が必要なら投資家のほうから尋ねてきますので、そのときに説明すればよいでしょう。

3. トラクションを明確にしていない

適切なスライドが追加されたプレシード ピッチ資料の割合:59 %
平均ページ数:1.7

「トラクション」スライドは、会社の成長段階によって違う内容になるのが普通です。投資家は、あなたの製品が問題の解決に役立つことを示す初期の指標を確認したいと望んでいます。DocSend の調査では、約 60 % の企業がこのセクションをピッチ資料に盛り込んでいました。またこのスライドは必ずしも財務的な内容でなくてもかまいません(財務的な情報は別のセクションにまとめられます)。たとえば、現在の顧客、顧客の声、意向表明などを含めることができます。

いずれにしても「トラクション」スライドに含める必要があるのは、あなたの会社が今、外部環境との間にどの程度の関係を構築できているかです。投資家は会社の現在の成長段階を考慮に入れて意思決定を下しますので虚勢を張る必要はありませんが、自身のアイデアに持続性があることを示したほうがよいでしょう。

4. 問題解決に最適なチーム構成であることを示していない

適切なスライドが追加されたプレシード ピッチ資料の割合:93 %
平均ページ数:1.4

ほとんどのピッチ資料には「チーム」スライドが盛り込まれていますが、チーム構成についての情報を省いているケースが珍しくありません。企業側が、自社に合った投資家のほうが働きやすいと感じるのと同じように、投資家側も、長期的な関係になる可能性のある投資先のチームについて詳しい情報を知りたいと望んでいます。また投資家には、あなたのチームが会社の経営にふさわしいのかどうか具体的に確認したいという気持ちもあるでしょう。「チーム」スライドは、「財務」スライドおよび「資金調達目標(資金調達依頼)」スライドに次いで投資家が時間を費やすスライドでもあるので、それにふさわしい内容にする必要があります。

DocSend の過去の調査では、「チーム」スライドの平均単語数は他のスライドのほぼ 2 倍になっており、このスライドの重要性が反映されています。「チーム」スライドに含めるべき内容としては、創業メンバーの写真、氏名、役職と、経歴およびそれが現在の会社と役職に関係している具体的な説明が挙げられます。また投資家が詳しい情報を簡単に確認できるよう、メンバーの LinkedIn プロフィールへのリンクを記載しておくとよいでしょう。

5. ビジネス モデルの検討が不十分

適切なスライドが追加されたプレシード ピッチ資料の割合:88 %
平均ページ数:2.8

現実世界でビジネスを展開するとなれば、ピッチ資料で提示されたビジネス モデルに多少の調整が必要であることは投資家も理解しています。しかしだからといって、ビジネス モデルは非現実的な内容でいいということにはなりません。「どうやって利益を上げるのか」という基本的な問いに答えるだけでなく、ターゲットの顧客層も提示できる必要があります。

ただし、多くのスライドを費やすべきではありません。ビジネス モデルを正しく説明するのにスライドが 4 枚以上必要になるようなら、おそらく収益化の方法に手直しが必要です。とは言え、収益構造を示すのに簡単なスライド 1 枚というわけにもいきません。顧客あたりの基本的な採算性やターゲットとする顧客層(B2B か D2C かなど)に加え、顧客層へのアプローチ方法を示す市場参入戦略についても多少の情報を盛り込む必要があります。

プレシード調査レポート

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ストーリーを見直す

すでに述べたように、ピッチ資料はストーリーです。すべてのスライドが揃ったらピッチ資料を見直し、できるだけ客観的に評価しましょう。情報を並べ替えてアイデアを明確にできる箇所はありませんか?情報量が多すぎて主張を理解するのに苦労する場所はないでしょうか?ここで示した 5 つのポイントは順番どおり実践していただくのがおすすめですが、ピッチ資料は 1 つとして同じものはありません。そこで特に覚えておいていただきたいのが、(1)問題点と解決策はピッチ資料全体を通じて対応しているか、(2)すべての項目が明確かつ簡潔な内容になっており、論理的な流れになっているか、の 2 点です。これができていないと、ピッチ資料に目を通した投資家を混乱させ、投資家の関心を引くチャンスである貴重な時間を無駄にする結果になってしまいます。説明できていない部分があれば、説明を加えましょう。ただし簡潔に。また不必要な画像や、要点を伝える役割を果たせていない画像があるなら、削除してしまいましょう。意味のない情報に投資家の注意を向けさせるべきではありません。

ピッチ資料に盛り込む情報は、すべて論理的な流れになっている必要があります。ピッチ資料の内容を充実させ、その効果を最大限に高めるため、有益な情報、最新の情報、会社の目的やストーリーに沿った情報を盛り込むようにしましょう。

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