スタートアップ企業資金調達のプレイブック
DocSend スタートアップ企業インデックスは、最新の資金調達トレンドと成功する方法について、データに基づくインサイトを提供します。スタートアップ企業インデックスに登録
弊社の調査について
DocSend の資金調達に関する調査である DocSend スタートアップ企業インデックスは、スタートアップ企業の資本調達方法に関するインサイトを、スタートアップ企業のライフサイクルの段階ごとに提供します。弊社は、資金調達トレンドを明らかにし、変化する投資家の行動を評価するために、創業者がどのようにプレゼン資料を作成し、ミーティングの場を設け、投資家にプレゼンを行っているかを研究しています。 データに基づく調査は、スタートアップ企業の資金調達プロセスの謎を解き、ベンチャー キャピタルの支援に基づく資金調達に関して創業者が抱える多くの質問に答えます。
調査に対する考え方
DocSend では、チームのメンバー構成に関するトレンドや投資家へのアウトリーチ戦略といった要素に関する調査データと、プレゼン資料の構成と使用の動向を明らかにする、DocSend のプラットフォームから得られる独自のデータを組み合わせます。また、数字に隠された生きた経験を裏付ける、業界専門家からの定性的データも使用します。
調査へのご協力のお願い
弊社の調査は、スタートアップ企業の皆様から提供いただくアンケートの回答とプレゼン資料あってのものです。資金調達に関する体験、プロセス、結果を共有していただける場合、スタートアップ企業の資金調達アンケートにご回答ください。すべてのアンケート データが集約されるため、個々の回答の秘匿性は厳密に保護されます。
プレシード段階のスタートアップ企業の資金調達:知っておくべき情報
プレシードの資金調達トレンド
2022 年から 2023 年にかけての厳しいマクロ環境の中で投資家がリスクを避ける姿勢は高まり、全体的に見て、成長よりも長期的な収益性に着眼点を移したことがわかりました。選択肢となるピッチ資料は多数にのぼり、創業者のストーリーや、第一印象の決め手である過去実績資料を VC が閲覧する時間は今までになく減少しました。
2023 年の VC による資料の精査時間は過去最少
2022 年から 2023 年にかけて、VC が資料閲覧に費やす平均時間は顕著に低下しました。これは資金調達ラウンドが成功した企業に対しても、そうでない企業に対しても同様です。
当社による 1 回目の閲覧と 2 回目以降の閲覧の比較では、2023 年には、不成功の資料に対する VC の精査時間が 2022 年より長くなったことがわかりました。たとえ資料の 1 回目の印象が思わしくなくても、投資家は 2 回目の閲覧でさらに丁寧に読み込み、有望なディスラプターを見落としてしまうことがないように確認していた可能性があります。
長期的な収益性が最大の関心事に
2022 年から 2023 年にかけて資金調達市場が厳しさを増す中で、投資家は特に財務、ビジネス モデル、トラクションのセクションに注力して精査していました。事実、2023 年全体で、財務セクションは精査されたセクションの第 4 位に位置づけられました。また、VC がビジネス モデルおよびトラクションのセクションに費やした時間は、それぞれ 48 % および 25 % 増加しました。不成功の資料に費やした精査時間はさらに増加しました。2023 年において、投資家は、不成功となったトラクションのスライドには 110 % 多くの時間を費やし、不成功となったビジネス モデルのスライドには 85 % 多くの時間を費やしました。競合セクションでは精査時間の低下が見られました。投資家は、ストーリーの冒頭で製品およびビジネス モデルのセクションを関連付けて言及している資料に対して前向きな結論を出しました。
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2022 年から 2023 年にかけて米国南部および西部の企業が増加
米国の南部および西部では、プレシードの企業を対象とした資金調達件数が年を追うごとに大幅に増加しています。こうした変化の要因として、業界の縮小に伴って技術系の人材が新企業を立ち上げたことや、特に米国南部においては南東部への大規模な人口移動が起きたことが考えられます。米国外から流入したプレシード企業は、当社のデータセットのおよそ 3 分の 1 を占めます。
プレシードのプレゼン資料分析
資料中の各セクションの順序は、資金調達が成功した企業においても不成功の企業においてもさまざまでした。成功したプレシードの資料は、製品およびビジネス モデルのセクションを先行させて、資料の冒頭近く(つまり課題と解決策のセクションよりも前)に配置する傾向がありました。不成功の資料は、製品およびビジネス モデルセクションを資料の中盤に配置し、どちらかといえばチーム セクションを先行させる傾向がありました。
プレシードのプレゼン資料テンプレート
プレシード段階の創業者が効果的なプレゼン資料を作成できるよう支援するため、プレゼン資料作成の攻略法に、セクションごとのガイドを設けました。このガイドは、プレシードを対象とした調査を元に作成されており、その後のラウンドと比較した場合のプレシードの資料の独自性について説明します。創業者が自分の会社ならではのストーリーでカスタマイズできる、プレゼン資料テンプレートも作成しました。
シード段階のスタートアップ企業の資金調達:知っておくべき情報
シードの資金調達トレンド
資金調達環境の低迷が続く中で、2023 年に VC がシードの資料を閲覧した時間は 2022 年に比べて減少しました。製品およびビジネス モデルなどの主要なセクションは引き続き重要であるものの、投資家は、現在の市場環境に直接訴えかける競合セクションや「今こそ必要な理由」セクションへの注目を強めていたことがわかりました。
2023 年の資料閲覧時間は 2 分未満へと減少
プレシードステージで見られたように、2023 年にはシードの資料の閲覧時間も減少しており、平均閲覧時間は初めて 2 分を下回りました。
1 回目の閲覧と 2 回目以降の閲覧を比較すると、成功した資料においても不成功の資料においても、投資家が 2 回目以降の閲覧に費やす時間は大幅に少なかったことがわかりました。シードを対象とする多くの投資家は、1 回目の閲覧を特に重視している可能性があります。
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投資家はシード期の創業者が不確実性の中でいかに繁栄できるかを評価
2023 年のシード資料の分析によると、VC は、企業の創業者が現在の市場の課題をどのように論じ、今後の機会についてどのように情報提供しているかという点に特に強い関心を払っていました。一方では、「今こそ必要な理由」などのセクションにはもっと注目しており、これは 2023 年の閲覧時間の第 3 位になりました。他方で、投資家はまた、競合セクションに対して 88 % 多くの時間を費やし、トラクション セクションに対して 33 % 多くの時間を費やしていました。これは、時宜を得た事業上の課題に言及し長期的な成功が見込まれるビジネスが、投資家の関心を得ていることを示唆しています。
多数の投資家に連絡しても良い結果は得られない
当社のデータでは、連絡をとった投資家数と、面談の実現数には弱い相関関係が見られました。しかし、連絡をとった投資家数と、シードの資金調達金額との相関関係はこれよりさらに弱いものでした。単純に数多くの VC に連絡をとるよりも、適切な VC に連絡をとることによって、創業者は、資金調達プロセスをより苦労の少ないスマートな方法で進められるといえるでしょう。
シードのプレゼン資料分析
2023 年に成功したシード資料では、従来の構成要素が多少組み替えられていました。課題と解決策セクションを先行させる代わりに、「今こそ必要な理由」を前に出し、冒頭の「会社の目的」のスライドの後に配置したものが多くありました。また、製品とビジネス モデルのセクションは、不成功の資料よりもやや早い段階でストーリーの中に組み込まれる傾向がありました。
シードのプレゼン資料テンプレート
シード段階の創業者が効果的なプレゼン資料を作成できるよう支援するため、プレゼン資料作成の攻略法に、セクションごとのガイドを設けました。このガイドは、シードを対象とした調査を元に作成されており、シードの資料とプレシードの資料の違いについて説明します。創業者が自分の会社ならではのストーリーでカスタマイズできる、プレゼン資料テンプレートも作成しました。
スタートアップ企業の資金調達におけるジェンダーと人種のバイアス
資金調達の減速がもたらす影響の乖離
2022 年のマクロ環境は、資金調達を目指す創業者にとって厳しい状況を生み出しました。しかし、すべてのチームが等しく影響を受けているわけではありません。手元のデータによると、経済の先行きが不透明になり投資家が躊躇するなかで、アーリーステージ(プレシードおよびシード)のチームの資金調達額が他のチームより少なくなっています。その一方で、女性のみのチームやマイノリティのメンバーを含むチームは他のチームとは異なる課題に直面しました。*たとえば、女性のみのチームの資金調達額は男性のみのチームの資金調達額より 36 % 少なく、2021 年の 25 %から差が拡大しました。
*このデータ セットでいう「マイノリティ」とは、白人以外の人種グループに属するメンバーとして自己認識しているアンケート回答者のことを指します。
2021 年、マイノリティのメンバーを含む女性のみのチームが参加した投資家会議の数が前年同期比で最大の伸びを示しました。しかし、2022 年は、これらのチームが参加した投資家会議の平均数が 2020 年のレベルに戻ってしまいました。
プレゼン資料の精査とジェンダー
例年と同様、2022 年に「チーム」セクションの精査全体に費やした投資家の時間が最も多かったのは女性のみのチームのピッチ資料でした。男性のみのチームのものに比べて平均 125 % 多くなっています。同じく例年と同様、スライドの確認に費やした時間が最も少なかったのは男性のみのチームのものでした。
VC が「製品」セクションに費やした時間を比較すると、男性のみのチームによるピッチ資料の場合が 103 % 多く、「企業の目的」セクションに費やした時間も同様に 125 % 多くなっています。
プレゼン資料の精査と人種
ピッチ資料の精査について人種構成の面から詳細に見ていくと、多様性のあるチームは白人のみのチームに比べて 4 つのセクションでより多くの精査を受けていました。VC は多様性のあるチームの「チーム」セクションに白人のみのチームのこのセクションより 25 % 多く時間を費やしました。また、多様性のあるチームの「トラクション」セクションに 28 % 多く時間を費やしました。
投資家はまた、多様性のあるチームの「競合」セクションに白人のみのチームのこのセクションより 55 % 多く時間を費やしました。最も大きな差が見られたのは「市場規模」セクションです。VC は多様性のあるチームのこのセクションに 67 % 多く時間を費やしました。
プレゼン資料関心メトリック
DocSend の資金調達調査の一部は、アンケート回答者から得られた最近の資金調達に関する情報を基にしています。ただし、それとは別に DocSend プラットフォームから直接得られたデータも利用しています。つまり、資金調達市場におけるアクティビティを測るために、プレゼン資料が DocSend でどのように共有され、閲覧されているかを追跡しています。
3 つのプレゼン資料関心メトリックを毎週分析
創業者によるリンクの作成数:創業者が送信したプレゼン資料のリンクの数
投資家による資料の操作:VC がそれらの資料にどのくらい積極的に関心を示したか
投資家の閲覧時間:投資家が資料を読み込むのに費やした平均時間
プレゼン資料関心メトリックに関する詳細情報、および資金調達アクティビティに関する定期的な分析を追跡するには、弊社の週次資金調達トレンド トラッカーをご覧ください。